古い常識は非常識なのか?「住宅ローンの新常識」とは!?
以前、「住宅ローンの鉄則」についてご説明しました。
しかし、「住宅ローンの鉄則」は理想の話であって、誰もが理想通りに家が買えるわけでもなく、理想通りだと買える家がない場合もあります。
また、「住宅ローンの鉄則」は一般論であって、「世の中の状況」によって変わってくるところもあるんじゃないの?ということで、応用編として、「住宅ローンの新常識」について解説していきます。
目次
そもそも住宅ローンってどんな商品なの?
そもそも住宅ローンってどんな商品なのか?主な特徴は、以下の3つ!
①非常に低金利で長く借りられる
②借りるのにかかる費用より、リターン・メリットの方が大きい
③団信の保障が充実している
住宅ローンは、非常に大きな金額を超低金利で長く借りられる商品です。
同じ住宅関連でも投資用不動産で使う不動産担保ローンは、変動金利でありながらフラット35の35年固定金利より高い金融機関が多いですし、リフォームローンでも同じような金利になります。
本人が住む住宅に限定された特殊な低い金利で、35年、最近では50年もの長いローンが組めるのは住宅ローンだけなのです。
しかも、その住宅ローンを借りられるという審査に通っているということは、つまり、「非常に大きな金額を超低金利で長く借りていてもいい」そういうお墨付きをもらっていることになるのです。
国が住宅ローン控除等を拡充して、推奨している借金は住宅ローンだけなのです。
また、住宅ローンを借りるためにかかる費用として、「ローン事務手数料」や「全期間に支払っている金利」などを負担します。
これに対して、「住宅ローン控除による税控除される金額」や「万が一亡くなった場合に住宅ローンの返済が不要になる(選択した団信によっては疾病の場合でも)いわゆる生命保険が付いてくる」などのプラスのメリットがあります。
損得で考えると、借りるのにかかる費用より、リターンの方が大きい商品と言えるのです。
ガン特約付きの団信の話で言うと、ガンと診断されたら以後の住宅ローンの返済が不要になる商品もあります。ガンは早期発見できれば、治る病気になりつつあります。それでも、その後の治療や仕事のことも心配になります。そんな時にガン特約が付いた団信に入っていれば、大きな安心材料のひとつになります。
こんなお得な住宅ローンとは、「借りられる金額をできるだけ長く借りて、そのまま借りておく方が良い」、そんな商品なのです。
以下、以前ご説明した「住宅ローンの鉄則」の6つのポイントに沿って、今風の考え方、「住宅ローンの新常識」について解説をします。
1、「頭金を用意しても全額借りる」
「世の中の状況」次第なのが、「頭金を2割以上入れて借入額を少なくする」という考え方!
仮に、3000万円の借り入れで、600万円の頭金が用意できているとします。
35年ローンで金利0.5%の場合、
3000万円借り入れで35年の金利総額は約270万円
2400万円借り入れで35年の金利総額は約216万円
その差は約54万円、35年間で約54万円になります。
もし、600万円を年1%で複利で運用したとすると、10年で約63万円の運用益があります。
あくまで、過去の実績ベースになりますが、米国S&P500の長期的な平均年間利回りは約7%から10%と言われています。
仮に7%で運用できたとすると、1年で約43万円、2年で約90万円、1年半くらいで得られるリターンでしかないのです。
年金の2000万円不足問題から徐々に投資について皆が考えるようになってきた現在、600万円も用意できるなら「頭金を用意しても全額借りる」が正解といえるのではないでしょうか?
2、変動金利一択?
これも「世の中の状況」次第の1つでありますが、現時点で、変動金利と全期間固定金利(フラット35の金利)の金利差が約1.5%あります。
上記の3000万円の借り入れで、35年ローン、変動金利0.5%とすると、35年の金利総額は約270万円(ずっと金利が変わらない場合)となります。
全期間固定との差約1.5%として、金利2.0%で35年の金利総額は約1170万円となり、その差約900万円となります。
2024年3月19日、日銀はマイナス金利政策の解除が決定し、政策金利を0~0.1%としました。
今後は、基本的には市場の原理により、変動金利も上がったり・下がったりする状況になったと言えます。
しかし、現在の日本経済がバブル景気のような好景気になるとは到底考えられないため、変動金利もバブル時の約7%まで上がるとは考えにくい状況です。
また、日銀が政策で金利を操作しない場合、変動金利は10年スパンで好景気の上昇と不景気の下落でひと山あるイメージになります。
そのため、現在の変動金利と全期間固定金利との金利総額の差を考えると、バブル時の変動金利約7%まで上昇する山が3回きて、やっと同じ程度の金利総額になると言われています。
つまり、変動金利の方がお得な可能性が高いのです。
月々の支払額で比較してみます。
変動金利0.5%の場合約78,000円、全期間固定2.0%の場合約99,000円、その差約21,000円となります。
例えば、全期間固定で支払ったつもりで、この差約21,000円を年2%で運用した場合、10年で約278万円貯まる計算になります(運用益は約26万円)。
30年運用できれば、約1,034万円にもなります(運用益約278万円)。
当然、変動金利が上がったり下がったりすれば、月々の支払額の差が変動するので、毎月21,000円運用できるわけではありません。
でも、固定金利より運用利回りの方が高い商品もある中、有効な選択肢の1つと言えるでしょう。
つまり、金利上昇リスクに備えて貯蓄・運用し、変動金利がそれほど上がらなければ、その差額分貯蓄できることになり、更にメリットが拡大するのです。
①現在の金利差、今後の予測から変動金利の方がお得な可能性が高い
②固定金利と変動金利の支払い額の差を活用し、運用することで更に差が広がる
③現金を手元に置いておくことでリスク回避にもなる
※最近では、固定金利型の住宅ローンにも、金利優遇のある商品が多くあるため、それぞれのお客様の状況や生活スタイル、考え方に合わせて選択することが最良です。
ご相談いただければ、様々な商品のご提案をさせていただきます。
3、収入に占める住宅費の支払い割合(返済比率)25%
返済比率という言い方をすることもありますが、25%は理想であって、あまり現実的ではありません。
最近の建築費や物価の上昇により、住宅も値上がり傾向があるため、あまりこだわりすぎると、希望の家が購入できない可能性もでてきます。
返済比率については、「無理をして借りすぎない」、ここをしっかりと守ることが大切です。
ローンの金額だけでなく、固定資産税や火災保険料、リフォーム資金の積み立てなど、さまざまな費用も合わせて検討することが大事になってきます。
4、定年までに完済
「定年までに完済する」、これも老後資金のことを考えれば理想です。
以前は、退職金で残りのローンを一括返済して。。といったお話も多くありました。
最近では、退職後も再就職や再雇用、定年延長といった話も多く、必ずしも早期に住宅ローンを完済すれば良いというものでもありません。収入に占める住居費の割合が負担にならないようにはしておきたいです。
しかし、考え方の一つとして、30台の頃に購入・建築した住宅が60台、70台になり生活スタイルに合わなくなっているということも考えられます。子どもの独立や体調面なども考慮して、その時の生活スタイルに合った住居に住み替えるという選択肢もあります。
5、繰上返済はしない
余剰資金があれば繰り上げ返済をして、住宅ローンの返済期間短縮し、定年までに完済しましょうと言われます。
前記までの「世の中の状況」を考えると、いつでも完済できるように余剰資金を貯めて、運用しながら流動資産を持っておく方が得策でしょう。
なぜなら、長く住んでいるとリフォームが必要になったり、いざという時、まとまった資金が必要になってきます。
0.5%で借りている住宅ローンを返して、2%のリフォームローンを組む、こんなことにならないよう気を付けなければなりません。
余剰資金で繰り上げ返済するなら、「流動資産として貯蓄・運用する」、そして、「タイミングをみて流動資産を使う」、これが「世の中の状況」を考えた場合の結論でしょう。
6、ボーナス払いは避ける
ボーナス払いについては、避けた方が無難でしょう。
経済の状況やコロナ渦などの予期せぬ事態で、ボーナスがあてにしていた額より少なくなることは十分に考えられます。
あてにできないものをあてにしない方が良いこと、間違いありません。
ローン破綻の原因のひとつになっています。
まとめ
住宅ローンのように「非常に大きな金額を超低金利で長く借りられる」ことは大きな特権です。
ライフプランの中で、車を買ったり、リフォームをしたり、教育ローンを組んだりすると思います。
でも、貯蓄でした200万円、300万円を繰り上げ返済して、自動車ローン、リフォームローンを借りていては本末転倒です。
「返すローン」と「借りるローン」の金利差は、確認しましょう!!
上記で、「貯蓄・運用」と何度か挙げてきましたが、頭金を入れずできるだけ多く借入して、繰り上げ返済はしないで「貯蓄・運用」することは、「住宅」という流動性の悪い資産を手に入れながら、流動性の高い現金という資産を手元に置いておけることにもなります。
賃貸派の人たちがマイホームを持たない理由の1つが、売りたくてもすぐ現金化できなかったり、貸したくてもすぐに借り手がつかなかったり、不動産は流動性が悪いからと言います。
ですが、不動産と流動資産の両方を持つことが可能になる場合もあります。
上記のように、600万円の頭金を入れずに3,000万円の住宅ローンを変動金利0.5%、35年で組んだ場合、600万円と月々の支払額の差21,000円を投資にまわし、仮に、仮にですけど平均利回り約14%で10年運用でき、変動金利も10年間約0.5%だった場合、投資額の累計が600万円+252万円で合計852万円、10年後の年末残高は約2,950万円となり、10年後の住宅ローン残高約2,935万円を上回り、完済できてしまうなんて夢のようなこともあり得るかもしれません。
このようにはならないまでも、既成概念「住宅ローンの鉄則」にとらわれない1つの考え方として、新しい、今の住宅ローンについて考えてみてはいかがでしょうか。
購入を検討している住宅があるけど、「住宅ローンについて知りたい」といった疑問や不安があれば、お気軽にご相談ください。
北杜市・昭和町・甲斐市周辺の不動産売買のご相談は、(株)ミライエステート山梨まで、お気軽にどうぞ。